fffworks
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/
FFFworks_weblogues
ja
2021-01-10T12:54:48+09:00
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Original Switcher
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000583.html
エフェクターをたくさん作って(購入して)スタジオやライブで使おうとすると、早晩演奏中の切り替えをどうするかで悩むことになります。そんなわけでスイッチャーを作ることにしました。 ワタクシがスイッチャーに求める機能は以下の通り: ①直列回路ではなくて並列回路 →直列回路の場合、トラブル時に全系統が使えなくなる可能性がある。 →並列回路ならば、トラブルのあった系統のみ切り離して縮退運転が可能 →余計な接点が増えることによる音質劣化を抑止 ②なのでプログラマブル化は不要 →アナログエフェクタは基本1台1設定であり、順序の組み替えが自在に出来たところで組み替えの都度個々のエフェクタの設定を瞬時に変えるのは無理 →マイコン的な物を使わないことで消費電力を抑え、電池駆動可能なレベルにする。 →せっかくなのでラッチングリレー を使う (手元にあった通常のリレーはひとつ50-60mAを消費してしまうため電池駆動無理な感じ) ③ただし4〜5系統は欲しい。 →2系統3系統ではA/B BOXと大して変わらないのでわざわざ作るモチベーションが・・・ ❹欲を言えばセンドリターンがあれば・・・ →腹案はあるが、今回はシンプルに! ❺もっと欲を言えば、外部のmidi機器のON/OFFが操作できれば・・・ →Arduinoは使ってみたいが、今回はシンプルに・・・ 構成図を描いてみました。常時1系統のみオンの想定です。出力のスイッチの構成を直列っぽくしていますが、この構成なら万が一間違って2系統以上オンになったとしても1系統しか出力されないので、複数の系統の出力が同時に行われることはありません。また、万が一演奏の途中にどこかの系統につないだエフェクターがトラブルを起こして音が出なくなっても、別の系統のスイッチを踏めば一瞬で音が出ない事態は回避できます。 こちらはスイッチ切り替え部の回路図です。押したスイッチの回路のみON、その他の回路をOFFとするロジック部分には、東芝のTC9135というスイッチ専用ICを使います。ロジックICの組み合わせでも同等機能の実現は可能ですが、ロジックICがプリミティブ過ぎるため単純な機能を実現するにも案外回路規模が大きくなってしまいます。しかもこのTC9135は入力のチャタリング防止機能や出力バッファ機能を備えていて、モメンタリスイッチやリレー駆動回路を(シュミットトリガーやバッファなしで)直結できるので、今回の用途には使い勝手が良いです。 Module1〜5 は基本的に同じ回路ですが、スイッチON直後に必ずModule1がONするようにModule1のみC2をセットします。C2がない場合、全部のModuleがOFFになります。ただ、ラッチングリレーを使用した事により、前回の電源OFF直前の状態がリレーのスイッチに残ってしまうという問題が発生します。普通のリレーの場合、電源OFFの際に必ず状態がリセットされるためこの問題は起きないのですが。 実はラッチングリレーでも電源OFF時に電圧が急激にゼロになるならば、電圧ゼロへの下降の際にリレーがOFFになるのですが、三端子レギュレータ電源周りの電解コンデンサの放電等により電圧の降下が緩慢になるとリレーがONの状態のまま残ってしまうことがあるようです。FETを使う回避策が特許資料に記載されているのですが、回路をあまり複雑にしたくなかったので、今回はこの問題を仕様と割り切ることにします。論理回路部分にArduinoでも使うのであれば、起動時に全てのModuleを順にONにするようなプログラムを組めばスマートに解決できると思います。 センドリターンのジャック周りの配線は、何も繋がない時はバイパスするようにしておいても良いと思います。...
OriginalWorks
fff
2021-01-10T12:54:48+09:00
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TubeStompPreamp(真空管2段増幅プリアンプ)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000584.html
オンラインセッション/自宅練習用に、Hammond 1590BBケースのサイズに収まるストンプボックス型のプリアンプを製作する。10年以上前Clethraさんから謹製真空管フォルダを譲っていただいていたものの、何に使おうか思案に思案を重ね過ぎて踏ん切りがつかないまま今に至っている。そんな現状だが、プリアンプを作るならやはり真空管プリアンプが欲しい。渡りに船というか必要は発明の母というか、ということで次のオンライン練習までに完成させようと目論んでいる。 回路の素案は、 FenderTwinReverbの初段〜トーン〜2段目をベースに、ToneMenderのトーン回路を組み込むことを考える。 なお赤色の数字は、手持ちの部品の関係で定数を変えたものです。また、上記回路図の赤色×の部分はスイッチの両端に数十Vの電位差が発生してしまう設計ミスで、途中まで組んでしまった後に気づいたので応急的に回路を修正しました。応急修正版は以下の通り。 電源について、ヒーターはTube Echoplex Boosterの時に実装したLT1086定電流回路を使用。B電源については既製品のニキシー管用昇圧電源ユニットキット(オーストラリアから輸入)を利用。当方100V以上の電圧を扱ったことがほとんど無いので、既製品を利用して動作不良のリスク回避と安全性の担保を行う。 若干苦言めいた話にはなるが、当製作に先立ち既製品/自作品を含めざっとネットで眺めて見たところ、100Vを超える電圧を扱うにも関わらず+電源とGNDのパターンが近接している(電安法的には3mmは欲しい。参考リンク: https://www.kimden.co.jp/gijyutu/f45_48.pdf)とか、真空管に密着しているように見えるモジュール配置になっていたり、PL法云々を持ち出すまでもなく安全性が疑われる事例が散見された。 背景には半導体の性能向上により近年昇圧回路の効率が著しく上がり(発熱が少なくなり回路がコンパクトになった)、そのため工業製品/自作品によらずあらゆる状況で昇圧回路が使いやすくなったことがあるのだと思うが、高圧が危険だと知らないのは問題である。ちなみに一般的には30Vrms、ピーク時42.4Vの交流電圧あるいは60Vを超える直流電圧を危険電圧と呼ぶそうです。 参考リンク: https://ednjapan.com/edn/articles/0608/01/news135.html 実際には電圧自体というよりも、感電した結果身体を流れる電流の量が問題であり、流れる電流が50mA以上になると死に至る恐れがあるとのことです。 参考リンク:https://www.matsusada.co.jp/column/electric_shock.html。 そんなわけで、今回の製作において、特に昇圧後の電源周り等の高圧部は絶縁を入念に行うこととします。 ①100V以上が流れる部分および近傍のケースをポリイミドテープで絶縁する ②昇圧回路の昇圧後電源出力(〜200V)周りは熱収縮ケースで絶縁する ③メイン回路はプリント基板ではなく端子板を使用する ④昇圧回路モジュール および メイン回路の端子台はネジで固定する ⑤高圧の配線を必要以上に引き回さない ⑥昇圧回路と真空管本体とメイン回路とヒーター電源回路は、それぞれ物理的に離して配置する 高圧部については原理上そんなに電流が流れない(この昇圧回路は電流をさほど取り出せない)ので気にし過ぎかもしれないが、万が一ギター持ってビリビリしたら気持ち悪いし、10mAを超えると感電時に握った手を離せなくなるので、出来るだけしっかりと絶縁を行いたい。 <作成後鳴らしてみた感想> 回路が単純なので、12AU7でも12AT7でも12AX7でもとりあえず動いた。ただ、12AU7や12AT7だと増幅率が控えめなためギターアンプっぽさが薄まる感じがする。ジャズとか演奏するなら全然ありだけど、歪まないとロックっぽくはならない。自分は真空管を色々試せるほど持っているわけでは無いので、この度評判良さそうなエレハモの12AX7GOLDを買って付けてみた。12AT7(日立製、昔ジャンクパーツを落札した際に付いてきた)で感じたゲインを上げた時の金属くささ(アルミダイキャストケースっぽい音?)が薄くなって若干キャビネっぽくなったのでひと安心。できればそのうちケースをアルミ削り出しにしてみたい。 上記のように作ったプリアンプを試し弾きした際に何回か真空管をつけ外ししているが、この真空管フォルダのおかげで、真空管の着脱が圧倒的に確実かつラクになっている。譲っていただいたClethraさんにはお礼を言っても言い切れない。 操作感でいうと、ToneMenderのHPにあるように、HiにするとMarshallっぽく、LoにするとFenderっぽくなる感じはある。真空管の回路がFender系なので、全体としてはFender寄りの音だと感じる(ちょっと定数変えてしまったが)。何れにせよこのサイズでそれっぽい音がシミュレートできれば御の字である。しばらくスタジオで使い込んでみたい。時節柄バンド練習は厳しいので、まずは個人練習かな。...
OriginalWorks
fff
2021-01-07T02:06:44+09:00
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OD-1+改(キラキラver.)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000582.html
<Slightly MOD Versionの説明> (SD-1の回路ではなく)OD-1の回路そのままでトーンのツマミを追加するため、2連可変抵抗を使います(図中VR3)。また可変抵抗を絞り切ったときに抵抗値を完全にゼロにしないため、R8, R10を追加します。ここでは10kΩ(実測13.5kΩ程度)としました。 元々この部分の回路は884Hzのローパスフィルタですが、この回路変更によって概ね周波数600Hz-5000Hzの範囲で変更することができるようになります。OD-1なのにトーンを上げるとキラキラしてエキサイターっぽくなります。 あと、トゥルーバイパス化(ラッチングリレー使用)をにらんで、バイパス回路およびFETスイッチの回路を除去します。 トーンを付けてキラキラした感じになったところで、さらに±9V両電源化によりエキサイトさせるのもアリ……マストだと思います。個人的には、スイッチングレギュレーターによって可聴帯域外にスイッチングノイズが乗ること(そのノイズにより元の音が若干変調すること)がケンタウルスの華やかさの要素の一つではないかと訝っていたりするので。...
Boss OD-1
fff
2020-11-21T10:33:02+09:00
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1巻線ラッチングリレー使用法
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000581.html
コンパクトエフェクタのトゥルーバイパス化 および 自作アナログスイッチャーの切替に際して、リレーを使う方法をかなり以前から模索しておりましたが、リレー自体の電力消費の多さに二の足を踏んでおりました。(電池駆動が現実的でなくなる。しかも地球にやさしくない) ある時、「ラッチングリレーを使うと電力消費が切り替え時だけで済む」という記事を見かけ、試してみようと思い立ったのがこの項の端緒です。 <ラッチングリレーとは> ふつーのリレーは、コイル(電磁石)に電気を入れっぱなしにしないとSET状態を保持できません(電気を消すとバネかなんかの力でRESET状態に戻る)。SET状態を続けるためにコイルに電力をかけ続けなくてはいけない分、電力の消費がかさみます。 ところがラッチングリレーの場合は、1回コイルに(パルス状の)電気を入れると、電気を消した後も(永久磁石かなんかの力で)その状態を保持します。SET状態を続けるためにコイルに電力をかけ続ける必要はなく、その分省電力であると言えます。 ラッチングリレーには、構造上1巻線型と2巻線型があります。1巻線型はコイルがひとつしかなく、コイルに正のパルスをかけたときにSET状態,負のパルスをかけたときにはRESET状態になります。 対して2巻線型はSET用およびRESET用のふたつのコイルがあります。SET用のコイルにパルスをかけたときにSET状態,RESET用のコイルにパルスをかけたときにはRESET状態になります。 (ここでは便宜上SET,RESETという表現をしておりますが、もちろん通常のON-ONスイッチと同様、2回路の切り替えもできます) ただ、通電は切り替え時の一瞬のみ、という仕組み上、外部からの振動(たとえばライブの時にシールドを引っ張ってしまった、蹴っ飛ばしてしまった等)によりステータスが変わってしまうことが予想されます。どの程度振動に弱いかは、実装した後実際に使ってみて評価したいと思います。 →数年自作エフェクタ(OD-1改)に突っ込んでロードテスト(というほどのものでもないけど)をしましたが、特に反応が悪い印象はないです。また、誤って蹴ってしまってもスイッチを踏まない限りはリレーが切り替わることは滅多にないです。 切り替え損ねの頻度も少なく、切り替えができなくてもLED確認してもう一度踏めばいい話なので、あまり気になりませんでした。 ここでは、オムロンのHPに1巻線ラッチングリレーのドライブ回路が載っていたので、まずはそのまま利用させていただくこととします。 リレー 共通の注意事項 6.プリント基板用リレーに関して 6-10「1巻線ラッチングリレーの省消費電力ドライブ回路例」 参照。 (参考:初出は過去のオムロンの特許(特開昭62-055826、現在は特許満了)) <上の回路の説明> 最も手軽に入手できたという理由で、松下電工の1巻線ラッチングリレーATQ219(5V)を使用しました。オムロンならばG5AU-234PHになります。(いずれも動作は確認済ですが、最適な回路定数は若干異なる可能性あり) リレーが5V用ですが、D1での電圧降下を考慮してここでは6Vの三端子レギュレータを使いました。きっちり電圧降下分だけ補償するならば、5V三端子レギュレータ+ダイオードでのグラウンド嵩上げでも大丈夫です。 R1,C2はチャタリング防止用です。スイッチにcarlingのモメンタリSWCarling110-PMを使った場合には、C2の値を0.1μFにした方がよいです。Bossのエフェクタに使用されているような軽量級(?)スイッチの場合は、0.01μFぐらいの方がよさそうです。この辺は実際のスイッチの特性に合わせて現物合わせ的に決定する必要がありそうです。 T-Flipflopはここでは4027(JK-Flipflop)を使って実現しましたが、4013(D-Flipflop)を使っても実現できるそうです。ただいずれにせよ2回路あるうちの片方しか使わないので不経済(?)です。RohmのBA634という専用ICは1回路T-Flipflopなのでエフェクタに内蔵する場合等スペースファクターが重視される場合には使い勝手がよさそうです。 スイッチを踏むごとにT-Flipflopにより出力信号が0→1→0→・・・と切り替わります。T-Flipflopの出力そのままではリレーを駆動できないので、間にBufferをはさみます。省スペースのためここではデジタルトランジスタを使用しています。 (実はこのBufferで信号が反転するのですが、今回はとにかくリレーが切り替わればよいので無問題とします)。 Relay Drive Moduleで重要なのはR3とC3の定数です(図中赤色の部分)。 D1での電圧降下を考慮した上記条件では、C3が33μFでもなんとか動きましたが、47-100μFくらいが無難と思います。 (D1での電圧降下を考慮しない場合、リレーにかかる電圧が4.5V程度になってしまうため、リレーの個体によってはC3が220μF程度必要になったケースもありました。) また、R3の抵抗値が低いと、待機時の消費電流が増えます。動作に差し障りのない範囲でなるべく抵抗直を高くしたいところです。R3=27KΩまではギリ動きはしましたが、多少の余裕を見て今回は15kΩとしています。 Q3についてですが、2SC1815のランクYを使ったところ(hFE=135程度)C3の容量が100μFでは連続操作に耐えませんでした。2SC1345のランクF(hFE600-1200)に差し替えたところ、ストレスなく操作できるようになりました。Q3についてはhFEが高めのトランジスタを使用した方が安全と思います。 消費電力、といえば、LEDにつながるR6はもう少し高抵抗にすべきでしょう。LED光らせるのはエフェクタの主目的ではないので。 Relay Drive Moduleの動作機序は、切り替え時にC3への充放電によってパルスが生成すること、およびパルスによってQ3が一瞬ONになることを利用したものと思います。(詳しくは前述の特許参照) 個人的な感傷ではありますが、BOSSのエフェクターについて、トゥルーバイパスのためにあの筐体に機械式スイッチを無理やり組み込むのは見ててなんか痛いので、筐体およびスイッチはそのままでラッチングリレーを使ったトゥルーバイパスを組み込んだりした方がスマートな気がするのですが如何。...
TechnicalTips(Stompbox)
fff
2020-11-21T00:53:34+09:00
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Tube Echoplex Booster
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000044.html
先日秋葉原某所で5703とかいうサブミニチュア管を見つけて、思わず衝動買いをしました。 (下がサブミニチュア管。ちなみに上はMT管(ギターアンプとかに入ってるやつ)) ちなみにピン配置はこんな感じ。 これだけ小さければ、わりとコンパクト(Hammond1590Bに収まるくらい)に真空管のエフェクタが出来るのでは、と思い、とっても簡単なブースターを作ってみました。 とはいえ、折角作るならミュージシャンに定評があってしかもブティックメーカーがほとんどコピーしてないようなブースターにしたい………というわけでTube Ver. Echoplex (EP-2)の回路のうち原音が通る部分をモチーフにブースターの回路図を書いてみました(下図Booster sectionの部分、書いたと言うほど大層な回路でもないけど)。 Booster sectionについては、オリジナルの定数(E24系列に合わせた若干の見直しあり)は黒字で、自作機の定数は赤で書いています。 外部電源としてBOSSのPSA-100(9V安定化電源)を使う予定です。何故9Vにこだわるのか。自分的に外部電源は9Vがデファクタスタンダードだと思い込んでいるのが一番の理由ですが、電源まで自作するのがめんどくさい(AC100V嫌いw)のと、スタジオに入った時、セッティングで焦って違うアダプタつないで機材を壊さないため、という理由もあったりします。 B電源(回路図のB Power Supplyの部分)の回路は昔GEOに載ってた記事「9Vから33Vを作る回路」をパクリました。(現在は何故かGEOから記事が無くなってます・・・) 33Vとした理由は、50V以下なら滅多なことでは感電事故は起こらないだろうという守りの気持ちと、せっかく真空管を使うんだったらある程度電圧上げてヘッドルームを確保したい攻めの気持ちとの妥協の産物です。 今回の回路ではチャージポンプICの耐圧は高い方がよいだろうということでLTC1144にしています。あとダイオードは順方向の電圧降下が低いショットキーダイオードを使っています。 なおこの回路はコッククロフト・ウォルトン整流回路の変形(各電解コンのマイナス側の配線先が異なるのみ)であり、動作機序はほとんど変わらないです(よね)。理屈については、こちらの「倍電圧回路について」が自分にはわかりやすかったのでオススメします。 ヒーター電源(回路図のConstant Current Supplyの部分)については、こちらの素敵な記事「真空管のヒーターに関する実験」を参考にして、突入電流を抑制できる定電流回路にすることとします。 サブミニチュア管5703のデータシートによるとヒーターの定格は6.3V 200mAとのことです。 このとき、ドロップ電圧(下図のVdif)が3V近いLM317は、Vref=1.25Vより、9V電源の場合概算で4.75Vとなりヒーター電圧6.3Vを大幅に下回ってしまうので使えません。 仕方ないので、かなり高価ではありますが(千石で@700)ドロップ電圧が低い(Vdif<1V)LT1086を使うことにしました。LT1086は9V電源から真空管の定電流ヒーター電源を得るのに都合良い(概算値6.75V>ヒーター電圧6.3V)ので、自作エフェクタ的には(LTC1144みたいに)今後流行してほしい石のひとつであります。(なんだかリニアテクノロジー推しみたいになってる。まあ嫌いじゃないけど。) なおLT1086のVrefは1.25Vなので、真空管5703のヒーター電流200mAを得るためR5を1.25V/200mA≒6.2Ωの抵抗とします。当初サブミニチュア管は小さいからヒーター電流も少なくてよいのかと思ってましたが、ふつうのMT管と大して変わらなくて(例えば12AU7は1ユニット150mAなのでむしろ少ない)ちょっとがっかりです。そんなわけで放熱はしっかりやらないといけません。 Booster Sectionは、先にも書いた通りだいたいEP-2のバイパス回路です。元のEchoplexからするとB電源の電圧はかなり低くなっていますが、あえてR3,R4の定数はそのままとしています。 今回制作したVer.では、手持ちの部品の都合でC3を0.02μFにしています。また何を間違えたかC2を0.68μFにしていました。C2については回路図通り0.047μFだと遮断周波数fは720Hzなのに対して、0.68μFでは50Hzになります。(ローカットされなくなる) 今の出音が割と気に入っているので、結果オーライですがここは0.68μFのままにしておこうと思います。 自分がメインで使用しているFender Duosonic(1966)の高音が若干キンキン過ぎるので、オリジナルの回路に加えて、C4とVR2からなるハイカットトーンコントロール回路(回路図中赤色の部分)をつけました。ハイが落ちる分、相対的に中域に音の粘りが出るようで弾いていて気持ちよいです。 真空管の発熱(主にヒーターのせい)が著しいため放熱には注意したいです(結果として電圧降下が少なかったので、定電流回路の発熱はそれほどでもない)。自分は無理矢理HAMMOND1590Bに詰め込んだので、この辺りかなりシビアでした(下の写真みたいな感じ)。とはいえ真夏に一日中連続通電しても特に問題が起きない程度には丈夫です。 なお右下の写真のコンデンサはパスコンです。B電源がスイッチングノイズにまみれているので、パスコンがないと悲惨なことになります(例えば次段につないだアナログディレイのディレイ音が出ない、とか(実話です※))。回路図のR3の上側(電源から見たBoosterSectionの入り口)とR4の下側(電気の出口)を結ぶように最短の距離で配線しましょう。 (※多分ディレイの中のコンパンダがノイズで誤動作したんだと思う) ちなみにB電源まわりは、スペースの都合でBooster Sectionから少々離してこんな感じで実装しています。 全体としてはこんな感じ。かなり詰め詰めですね・・・。ちなみにケースの横の穴は放熱用です。あまり綺麗ではないですが、ここだけ手の皮が剝けるくらい頑張りました。 <おまけ>...
OriginalWorks
fff
2016-08-15T02:41:47+09:00
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Maxon AD900 Analog Delay
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000571.html
この記事は備忘的なメモです。何書いてるかわからなかったらすいません。 SA571コンプレッサー → 3段バタワースローパスフィルター(fc=3.2kHzぐらい)→BBD(MN3005×2) → 5段バタワースローパスフィルター(fc=3kHzぐらい?)→SA571エキスパンダー 特に中開けて再認識したのは、BBD×2をまとめて後段の5段ローパスフィルターに通していること。 データシートより204.8msのときクロックが10kHz(のはず)なので、300msの場合、クロックは6.8kHzぐらい。5段ぐらい急峻なフィルターじゃないとノイズを落とし切れないんだろうか(BOSS DM-2も5段だけど)。それぞれのBBDにフィルタかけなくても大丈夫なのか?...
TechnicalTips(Stompbox)
fff
2016-07-20T04:10:53+09:00
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Fuzzface概論8(エージング)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000043.html
fuzzface
fff
2009-09-21T23:41:48+09:00
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Fuzzface概論7(実測波形観察2)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000042.html
<概論3 図8:Iceo vs 「真のhFE」(Temp: 21.9~22.6℃)> 概論6に引き続き、Fuzzface概論3でIceoと「真のhFE」との相関を示したサンプルの一部(2SB370_Sample15, 12, 11)をQ1として(Q2は2SB370_Sample27)、実際のギター入力(1弦12フレットのハーモニクス(E) および 3弦12フレットのハーモニクス(G))に対する出力波形を観察してみます。 <概論6 図1:Fuzzface回路中の出力波形の観測ポイントAおよびポイントB> <図1:2SB370_Sample15 & 1弦12フレット(E)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図2:2SB370_Sample12 & 1弦12フレット(E)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図3:2SB370_Sample11 & 1弦12フレット(E)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図4:2SB370_Sample15 & 3弦12フレット(G)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図5:2SB370_Sample12 & 3弦12フレット(G)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図6:2SB370_Sample11 & 3弦12フレット(G)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <表2:図1〜6の波形観察時のVCB1およびVCB2の値> Iceoの増大による出力波形への影響を見るため、「真のhFE」はほぼ同じでIceoのみが異なるサンプル(Sample15⇒12⇒11の順にIceoが増大)を使用して結果を採取して見ました。 図1⇒図2⇒図3(もしくは図4⇒図5⇒図6)におけるPointAの結果を比較すると、 期待通りIceoが増大することにつれて波形の上側のアタマがつぶれてくることが判ります。...
fuzzface
fff
2009-05-15T20:58:34+09:00
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Fuzzface概論6(実測波形観察1)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000041.html
<概論3 付図2:Iceo vs 「真のhFE」(2SB422, Temp: 22.0~22.1℃)> Fuzzface概論3でIceoと「真のhFE」との相関を示したサンプルの一部(2SB422_Sample24, 49, 98)をQ1に用いて(Q2は2SB370_Sample27)、実際のギター入力(1弦12フレットのハーモニクス(E) および 3弦12フレットのハーモニクス(G))に対する出力波形を観察してみます。ここでハーモニクスを使ったのは(1)ギターからの生の出力であること(2)正弦波に近い といった理由からです。 <図1:Fuzzface回路中の出力波形の観測ポイントAおよびポイントB> 図1の回路図のPointAおよびPointBの信号を同時にPowerbookのステレオ入力に直結し、M-AUDIO FireWire410を介してLogic7を用いて取り込んだ音声(サンプリング周波数44.1kHz)の波形を画面キャプチャーで画像化する、というなんだか原始的な方法を用いてます。 とはいえ音声信号を見るくらいのレベル(周波数)だったらオシロより便利かもしれません。 (残念ながらPowerbookのステレオ入力は「音が録れる」レベルでしかなく、計測に使うのは難しいようです・・・) <図2:2SB422_Sample24 & 1弦12フレット(E)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図3:2SB422_Sample49 & 1弦12フレット(E)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図4:2SB422_Sample98 & 1弦12フレット(E)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図5:2SB422_Sample24 & 3弦12フレット(G)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図6:2SB422_Sample49 & 3弦12フレット(G)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <図7:2SB422_Sample98 & 3弦12フレット(G)の出力結果(上段:PointA,下段:PointB)> <表1:図2〜7の波形観察時のVCB1およびVCB2の値> 表1の結果は、概論3での付図3〜6の結果を簡略化した感じになっています。 Sample24において1弦12フレットのハーモニクスEがマトモに出ない(図2)のは、表1での測定結果よりVCB2が飽和領域どころかマイナスであるためトランジスタが機能していないことが理由と思われます。図5の3弦12フレットのハーモニクスGの場合に多少なりとも出力が行われているのは、入力信号自体がEに比べて大きいためでしょう。 Q1のhFE1が大きくなるにつれてVCB2が大きくなりQ2が飽和領域から離れ、他方VCB1は小さくなってQ1が多少飽和領域に近づいていますが、左記の電気的な状況が出力Bに及ぼす影響はSample49の非対称波形(図3B...
fuzzface
fff
2009-05-14T00:46:59+09:00
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Fuzzface概論5(温度変化考察)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000040.html
前の記事が雑多な情報の羅列っぽくなってて気に入らないので ちょっと再構成を試みます。すいません。 【Q1:ゲルマTr版Fuzzfaceはなぜ周囲温度の変化に弱いのか】 <図1:ゲルマニウムトランジスタにおけるVce-Ic図> A1:ゲルマニウムトランジスタの動作において、周囲温度が上昇した場合にはIceoとhFEが増大します(Fuzzface概論1:ゲルマTrの温度変化に対する特性(Iceo, hFE)変化の項参照)。図1で示すように、IceoはゲルマTrの場合比較的大きく、 かつ温度上昇に伴いIceoは指数関数的に増大し、hFEは比例的に増大します。正弦波入力時の1石エミッタ接地増幅による出力を図2に模式的に例示してみます。 <図2:動作点Bにおける波形のつぶれ方(例)> Iceoが実線→点線のように増加すると、図1の負荷線上の動作領域(背景が白い部分)と遮断領域(背景が黄色い部分)との境界Aが①→のように移動して動作領域が狭くなります(図3)。 <図3:動作点BにおいてIceoが①→のように増大した際の波形のつぶれ方(例)> また、hFEの増大により、図1中の動作点Bが②→のように移動します(図4)。 <図4:動作点Bが②→のように移動した際の波形のつぶれ方(例)> このとき、Iceoの増大によりAが飽和領域(背景が緑の部分)との境界Cに達すると動作領域がまったくなくなってしまいます(not shown)し、また、hFEの増大によりBが飽和領域に入るとAB級どころかB級増幅すらしなくなります(図5)。 <図5:動作点が飽和領域を超えた際の波形のつぶれ方(例)> ただ、前述のとおり温度上昇による影響はhFEよりIceoの方がはるかに大きく、特にFuzzfaceの1段目のようにコレクタ電流のオーダーがIceoに近い場合にはIceoの増大による動作領域の減少の方が、(動作する/しないの点では)より支配的だとは言えると思います。 (ゲルマTrのIceoの大きさを鑑みると、個人的にはFuzzfaceのコレクタ抵抗の大きさ(33kΩ)は疑問です。Tonebenderのようにもう少しこのコレクタ抵抗が小さければ(10kΩ)、使えるトランジスタの幅がかなり広がるように思うのですが) 上記結果をを踏まえて、参考までにFuzzface回路全体における正弦波入力に対するクリップの概要を模式的に示してみます(図6ー 図8)。図6は1段目および2段目のトランジスタの動作点がともに動作領域にある場合、図7は1段目のトランジスタが飽和している場合、そして図8は2段目のトランジスタが飽和している場合 を示したものです。 前述のように、図7の1段目トランジスタの飽和は温度上昇により1段目トランジスタのhFEが著しく増大した(もしくはもともと高いhFEのトランジスタを使用した)場合に発生し、また図8の2段目トランジスタの飽和は温度下降により1段目トランジスタのhFEが著しく下降した(もしくはもともとhFEが低いトランジスタを使用した)場合に起こります。 <図6:Fuzzfaceにおいて1段目および2段目のトランジスタがともに動作領域にある場合の波形クリップの様子> <図7:Fuzzfaceにおいて1段目のトランジスタが飽和領域にある場合の波形クリップの様子> <図8:Fuzzfaceにおいて2段目のトランジスタが飽和領域にある場合の波形クリップの様子> 図8において1段目トランジスタの波形の中心を図6、図7における波形の中心に比べて上側にシフトさせて描画している理由は、2段目トランジスタが飽和するような状況では(飽和しない状況に比べて)1段目のトランジスタが飽和から比較的遠い状態で動作していることによるものです。 (詳細はFuzzface概論3(測定結果)の<1段目トランジスタのhFEが小さい場合に何が起こるか>における付図3−付図6を参照) 実際には上記に加えて入力のカップリングコンデンサ(2.2μF)と入力インピーダンス(ほぼ1段目トランジスタのhieのオーダーなので1〜数kΩ)により形成されるハイパスフィルタにより入力前に数十Hz以下の低域がカットされ、トランジスタ自体の高域特性の悪さにより十数kHz以上の高域がカットされ(波形の平らな部分が右肩下がりになる)、さらに出力のカップリングコンデンサ(0.01μF)と次につなぐ機器の入力インピーダンスにより形成されるハイパスフィルタにより低域がカットされるはずです。 現在Fuzzfaceをコピーしようとする場合には、回路定数を変えずにバカ正直に作ってトランジスタを選別しまくるよりは、持っているトランジスタに合わせてコレクタ抵抗を調整するか、もしくは下図9のようにコレクタ抵抗を可変(図中赤で示すように固定抵抗(RC1:10kΩぐらい)と可変抵抗(VR3:20kΩぐらい)を直列につなぐ。RC1の固定抵抗を減らし過ぎると抵抗値を下げた時に電流が流れ過ぎて可変抵抗が焼けるのでNG)にするのがいいと思います。 <図9:バイアスを調整できるように少しだけ改良したFuzzfaceの回路図> この部分を可変抵抗化しておくと周囲温度が変化した時にバイアスのセッティングを調整できるので多少便利かもしれません。ただその場合、可変抵抗をひねった時にガリガリ言うようになります(どこかの自作記事みたいに)が、その辺は確信犯なので許してください。 もう少し回路を複雑にして良いのであれば、こちらのFuzzface概論X(結論)の回路をおすすめできると思います。ゲルマトランジスタ自体にIcboの変化を補償させているので、hFEに対する補償までは対応できていないものの、図9の回路よりは温度変化に強いはずです。できれば真冬の野外とかで使ってみて効果を試してみたいですね。...
fuzzface
fff
2009-05-14T00:43:11+09:00
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Fuzzface概論X(結論)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000038.html
とりあえず思惑通り動くことは確認しました。あとは煮るなり焼くなり・・・。 これでイグノーベル賞まちがいなし????? 1段目トランジスタとベースがオープンなトランジスタは特性の揃ったものを使ってください。 参考文献1:はじめてのトランジスタ回路設計 (黒田 徹 著/CQ出版社) 参考文献2:解析OPアンプ&トランジスタ活用 (黒田 徹 著/CQ出版社) 参考文献3:'88年版最新トランジスタ規格表(CQ出版社)...
fuzzface
fff
2007-04-14T23:02:59+09:00
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Fuzzface概論1(ゲルマTrの特性)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000037.html
ゲルマ版Fuzzfaceを自作するにあたり、実測値から推測される回路の動作および要求されるトランジスタの特性を明らかにする。その過程でこれまでまことしやかに語られてきた多くの迷信や伝説の類いを排除できれば幸いである。 <ゲルマニウムトランジスタの特性の測定について> 現在、fuzzfaceを自作しようとする場合に最も有用な記事はGEOのThe technology of the fuzzfaceであることは疑いようのないことでしょう。このサイトには、簡単な動作原理の説明,トランジスタの選別法 および さまざまなfuzzfaceの亜種の紹介などが記されています。 今回は、まずGEOに紹介されている方法をもとにIces, Iceo, hFEを測ってみたいと思います。 Iceo:ベースをオープンにしてコレクタ-エミッタ間に電圧をかけた時に流れる電流。(漏れ電流と呼ばれることもあるらしい) Ices:ベースをエミッタと短絡させてコレクタ-エミッタ間に電圧をかけた時に流れる電流 (これらIceo,Icesはコレクタ遮断電流とも呼ばれる) なぜGEOの方法においてhFEだけでなくIceoも測定しているのかというと、トランジスタの動作領域を考えた時に、取り出せる電流はIceo以下にはならない(遮断領域)ことを踏まえてのことだと思います(逆にどんなに出力電圧を取り出そうとしても、Vceは飽和電圧Vces以下にはならない)。さらにGEOでは、このIceoを差引いたIcを用いて算出したhFEを*real*hFE(「真のhFE」)と表現しています。この「真のhFE」を使用したスクリーニング法がどの程度有効かは、後ほど検証および評価したいと思います。 なおトランジスタの動作領域の詳細は、NECのFAQ「tr-1101 動作領域」の項をご覧ください。 今回Icesを測定する意図は、Iceoが流れている状態ではVbeが0Vより下降しているもの(PNPトランジスタの場合)と推測し、それではベースの電位を強制的に0Vにしたらどうなるかを見たかったという興味本位の理由です。同様の理由で、Iceo および hFEを測定した時のVbeもそれぞれ記録しておくこととします。 <図1:今回測定に使用する回路> 上図はGEOで紹介されているIceoおよびhFEの測定回路にIcesを測るためのSW1を追加した回路です。実験手順は以下のとおりになります。 1.最初にSW1を押した状態で数分室温になじませて、値が落ち着いたところでコレクタ電流Ices(実際は電源-コレクタ間に設置した電圧計。以下同じ)の値を読む。 2.SW1を離してコレクタ電流Iceoの値を読む。同時にVBEを測っておく。 3.SW2を押してコレクタ電流Icの値を読む。同時にVBEを測っておく。 この回路定数で測定すると、以下のようにhFEが直読できることになります。 hFE=上記3で読んだメーターの値×100 真のhFE=(上記3で読んだメーターの値-上記2で読んだメーターの値)×100 逆にIceoについては、下記のように算出する必要が生じますが。 Iceo=上記2で読んだメーターの値/Rc(=2.5kΩ) 上記の測定条件は、(ゲルマTrの大きなIceoのため)IceoとIcの値が近すぎて「純粋な」hFE測定には不向きです。ただ、実際のFuzzfaceの1段目トランジスタのベース電流に条件が近い(実際のRfの両端の電位差は概ね0.2~0.8V程度)ので、Fuzzface用のトランジスタのスクリーニングに特化した回路である、とは言えます。 Iceo,Icesについて、上図の回路にはコレクタに電流検出用の抵抗(Rc=2.5kΩ)が入っているため、正確にはVceが一定の状態での測定とはなりませんが、Rcによる電圧降下は概ね1V程度であり、Vceが多少変動したところで測定結果に与える影響は軽微であるため(詳細な影響度合いについては、下記<測定時のVceの大小によるIceo測定結果の変化>参照)、ここではVce=約8Vと割り切って考えることにします。hFEについては、Ib(=9V/2.2MΩ≒4.1μA)を一定とした測定と考えることにします。本来はコレクタ電流が一定の状態で測定すべきですが、こちらも今回は簡易的な測定と割り切っておきます。 (今回のように量を捌く必要がある場合にはこういう機械が欲しくなりますね) 以下2SB370のAランクを41個測定した結果です(うち30個は同一ロット)。気温20℃ 時間があったら他の品番でも測定したいと思います。 <図2:2SB370 AランクのIcesのばらつき> <図3:2SB370 AランクのIceoのばらつき>...
fuzzface
fff
2007-04-10T14:44:30+09:00
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Fuzzface概論2(机上回路解析)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000036.html
ここでは概論1とは別のアプローチによりゲルマTr VersionのFuzzfaceの動作に迫ろうと思います。ゲルマTrの回路を無理やりDC解析することにより回路の大まかな動作を考えます。 <図1:或るFuzzfaceの回路> Fuzzfaceの回路定数は、とりあえず上図をベースに考えます。 なおRFとして100~150kΩ,RC2_1として470Ω or 330Ω等種々のVersionが存在するようです。RC2_1については、guitar magazine august2003, Vol.14, No.4のpp60-61の「SECRET SMILE」 というFuzzface特集を注意深く見ると概ねゲルマ=470Ω,シリコン=330Ωとなっているように見えますが、その他のVersionが存在しないことを保証できるものではありません。 <図2:DC解析用に書き直したFuzzfaceの回路図> RE2に流れる電流は、Ie2-Ifなので、RE2の両端の電位差はRE2・(Ie2-Ib1)です。 Q1のコレクタとエミッタの電位差をVCE1,コレクタとベースの電位差をVCB1,ベースとエミッタの電位差をVBE1Q2のベースとエミッタの電位差をVBE2とすると、 VCE1=VCB1+VBE1=VBE2+RE2・(Ie2-Ib1) Q1,Q2はともにゲルマなので、VBE1≒VBE2と考えることができます。よって、 VCB1≒RE2・(Ie2-Ib1) おおざっぱに言えば、VCB1はRE2の両端の電圧とだいたい等しいと言えます。VCB1が小さくなりすぎるとQ1は飽和するので、Q1が飽和するかしないかは、RE2に流れる電流の大小によって決まる(RE2に流れる電流が少なくなるとより飽和に近くなる)ことがわかります。 次にRE2の両端の電位差VRE2を考えます。 VRE2=RE2・(Ie2-Ib1)=Rf・Ib1+VBE1 RE2・Ie2-VBE1=(Rf+RE2)・Ib1 ∴ Ib1=RE2/(Rf+RE2)・Ie2-VBE1/(Rf+RE2) ゲルマのVBEは0.1V程度なので、思い切って無視してしまうと、 ∴ Ib1≒RE2/(Rf+RE2)・Ie2 実際にはRE2=1kΩ,Rf=100kΩなので、大体Ib1はIe2の1/100ぐらいと考えられます。 <図3:Q2の動作を理解するために心の眼で見たDC解析用Fuzzface回路図> ここでQ2の動作について考えると、上図のようにQ2のベース電位はRC1による電圧降下によって決定されることがわかります。Vcc→RC1→Q2→RE2→GNDのラインを考えてみると、 Vcc=RC1・(Ic1-Ib2)+VBE2+RE2・(Ie2-Ib1) Vcc-VBE2=RC1・(Ic1-Ib2)+RE2・(Ie2-Ib1) RE2・(Ie2-Ib1)=Vcc-VBE2-RC1・(Ic1-Ib2) ie2≫Ib1, Ic1≫Ib2とすると、 RE2・Ie2≒Vcc-VBE2-RC1・Ic1 Ib1≒RE2/(Rf+RE2)・Ie2, Ic1=hFE1・Ib1+Iceo1より(2009/5/16追記:ゲルマの場合使用条件によってはIceoが無視できないほど大きくなるため、考慮を追加)、 RE2・Ie2≒Vcc-VBE2-RC1・Ic1...
fuzzface
fff
2007-04-10T13:40:05+09:00
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Fuzzface概論3(測定結果)
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000035.html
Fuzzface概論2(回路解析)における結論を改めて以下に整理しておく。 ○以下の式により1段目のトランジスタのhFEの大小によってQ1が飽和したりQ2が飽和したりすることが判明した。 VCB1≒27.2/(hFE1+3.06) Ie2≒0.0272/(hFE1+3.06) ○Iceoについて、少なくともQ1にはIceo ○1段目トランジスタのhFEおよびIceoが外気温により大きく増減することが、ゲルマ版Fuzzfaceの本質的な不安定さの原因である。 ○1段目に比して2段目のトランジスタのhFEおよびIceoは回路動作の面では大勢に影響を与えていない。 これら机上回路解析の結果が実際の回路動作にどの程度合っているかを実際の測定結果をもとに評価しようと思います。 まず、今後の実験で使うトランジスタの個々の特性を再度測定します。今回は周囲温度(缶表面の温度)を測定しておいて、実際の回路での測定をなるべく同じくらいの温度で実施するよう配慮するようにします。なお、後々の測定のためにそれぞれの個体にラベルをつけておきます。あと、比較対照のためBランクの個体(Sample16)も入れておきます(その他サンプルはすべてAランク)。 <図1:Iceo vs hFE (Temp: 18.0~18.7℃)> <図2:Iceo vs 「真のhFE」 (Temp: 18.0~18.7℃)> <概論2の図1:或るFuzzfaceの回路>(再録) 次に上記回路の中にA,B,C,Dで記した点のアースからの電位を測定し、実際のFuzzfaceの回路中でのVCB1, VCE1, VCE2を求めます。それらの値と上で測定したhFE, Iceoとの相関 および DC解析で求めた数式による算出値との比較をします。 <図3:VCB1 vs hFE1 (Q2:Sample27)> <図4:VCB1 vs 「真のhFE1」 (Q2:Sample27)> 上記のようにQ2をSample27に固定した条件においては、Q1のVCBとhFE(および「真のhFE」)とは非常に高い負の相関を示しています(図3)。hFEと「真のhFE」とを比較すると、わずかに「真のhFE」との相関が高くなっています(図4)。 <図5:VCE1 vs hFE1 (Q2:Sample27)> <図6:VCE1...
fuzzface
fff
2007-04-10T12:30:54+09:00
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Maestro Fuzztain
http://eu11.stripper.jp/pulcino/blog/archives/000033.html
<Slightly MOD Versionの説明> SOFT → HARDを連続的に変えたかったので、モード切り替えはCOMP/FUZZの2通りとして、スイッチによる選択部分を可変抵抗に置き換えました。(上図中赤の部分) OTA系コンプというかちょっとシンセっぽいです。ノイズもそんなにひどくないです。 CD4007の差し替えについては、フェイザーにおけるFETのばらつきぐらいの感じです。メーカーの違うヤツ同じヤツいろいろ何個か揃えておいて、気に入ったものを使えばいいと思います。 FUZZモードの方の音は、コンプ感の強い音から伸びる音までわりといろいろ出ます。COMP最大かつDriveをちょっと上げたぐらいのセッティングなど80年代を彷彿とさせます。メーカーも回路もかなり違いますが、DeluxeBigmuffのコンプ+ファズ直列モードにも似た味わいがあります。可変抵抗の部分を増やしたため、オリジナルにない中庸なセッティングも可能となり音色的には使いやすくなったと思います。...
Maestro Fuzztain
fff
2007-03-30T22:04:03+09:00