Original Switcher

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エフェクターをたくさん作って(購入して)スタジオやライブで使おうとすると、早晩演奏中の切り替えをどうするかで悩むことになります。そんなわけでスイッチャーを作ることにしました。

ワタクシがスイッチャーに求める機能は以下の通り:
①直列回路ではなくて並列回路
 →直列回路の場合、トラブル時に全系統が使えなくなる可能性がある。
 →並列回路ならば、トラブルのあった系統のみ切り離して縮退運転が可能
 →余計な接点が増えることによる音質劣化を抑止
②なのでプログラマブル化は不要
 →アナログエフェクタは基本1台1設定であり、順序の組み替えが自在に出来たところで組み替えの都度個々のエフェクタの設定を瞬時に変えるのは無理
→マイコン的な物を使わないことで消費電力を抑え、電池駆動可能なレベルにする。
→せっかくなのでラッチングリレー を使う
(手元にあった通常のリレーはひとつ50-60mAを消費してしまうため電池駆動無理な感じ)
③ただし4〜5系統は欲しい。
 →2系統3系統ではA/B BOXと大して変わらないのでわざわざ作るモチベーションが・・・

❹欲を言えばセンドリターンがあれば・・・
→腹案はあるが、今回はシンプルに!

❺もっと欲を言えば、外部のmidi機器のON/OFFが操作できれば・・・
→Arduinoは使ってみたいが、今回はシンプルに・・・

構成図を描いてみました。常時1系統のみオンの想定です。出力のスイッチの構成を直列っぽくしていますが、この構成なら万が一間違って2系統以上オンになったとしても1系統しか出力されないので、複数の系統の出力が同時に行われることはありません。また、万が一演奏の途中にどこかの系統につないだエフェクターがトラブルを起こして音が出なくなっても、別の系統のスイッチを踏めば一瞬で音が出ない事態は回避できます。

こちらはスイッチ切り替え部の回路図です。押したスイッチの回路のみON、その他の回路をOFFとするロジック部分には、東芝のTC9135というスイッチ専用ICを使います。ロジックICの組み合わせでも同等機能の実現は可能ですが、ロジックICがプリミティブ過ぎるため単純な機能を実現するにも案外回路規模が大きくなってしまいます。しかもこのTC9135は入力のチャタリング防止機能や出力バッファ機能を備えていて、モメンタリスイッチやリレー駆動回路を(シュミットトリガーやバッファなしで)直結できるので、今回の用途には使い勝手が良いです。

Module1〜5 は基本的に同じ回路ですが、スイッチON直後に必ずModule1がONするようにModule1のみC2をセットします。C2がない場合、全部のModuleがOFFになります。ただ、ラッチングリレーを使用した事により、前回の電源OFF直前の状態がリレーのスイッチに残ってしまうという問題が発生します。普通のリレーの場合、電源OFFの際に必ず状態がリセットされるためこの問題は起きないのですが。

実はラッチングリレーでも電源OFF時に電圧が急激にゼロになるならば、電圧ゼロへの下降の際にリレーがOFFになるのですが、三端子レギュレータ電源周りの電解コンデンサの放電等により電圧の降下が緩慢になるとリレーがONの状態のまま残ってしまうことがあるようです。FETを使う回避策が特許資料に記載されているのですが、回路をあまり複雑にしたくなかったので、今回はこの問題を仕様と割り切ることにします。論理回路部分にArduinoでも使うのであれば、起動時に全てのModuleを順にONにするようなプログラムを組めばスマートに解決できると思います。

センドリターンのジャック周りの配線は、何も繋がない時はバイパスするようにしておいても良いと思います。

投稿者 fff : January 10, 2021 12:54 PM
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