Maxon OD-880(Original)

OD-880.gif

1段目がボルテージフォロワでオペアンプ自体の入力インピーダンスが高く(741の場合、
オペアンプ自体の入力インピーダンスは無限大と言えるほど高くはない。下記参照)、
2段目の非反転増幅回路で約20〜120倍ほどゲインを稼いで(同時にC3,R6,R7+VR1
によるハイパスフィルタでローがカットされる)、D1,D2により±0.6Vの範囲でクリップ
され、続いて3段目の反転増幅回路で10倍に増幅された後(かつR10,R12,C6により
ハイカットされる)、最後にR13とVR2によりアッテネートされて出力される・・・ちょっと待った! 

つーか、0.6V×10=6Vなので、D1,D2でクリップされても3段目で10倍に増幅され
ちゃあ電源電圧9V(つまり±4.5V)を遙かに超えてしまって、結局3段目のオペアンプの
最大出力振幅でさらにクリップされてしまう!!! なんてこったい。
この辺がオペアンプ使用初期のエフェクタ(確か1977〜78年ぐらいに発売開始のはず)
ゆえの結果オーライさというべきか。

何はともあれ、Charが使っていることで有名なこのOverdrive、出音のもっさり感の所以は
もちろん当時のローファイオペアンプ(MotorolaMC1741CP,1976年ごろ)による部分が
大きいようではある(自作してみてそう思った)のですが、もしかしたら加えてこのあたりの
設計の微妙さ加減(たぶん設計ミス)も影響しているのかもしれません。

<以下ちょっとだけ数値計算>
LM741,AD741等の入力インピーダンスRinは、カタログ値よりTyp.2MΩ
R2を含めたボルテージフォロワ全体の入力インピーダンスはRin//R2=2MΩ//470kΩ≒380kΩ

C2,R3によるハイパスフィルタの遮断周波数fc=1/2πCR=338.6Hz
C3,R6,R7+VR1による似非ハイパスフィルタの遮断周波数fc=1/2π(C3)(R6)=720.5Hz
R10,R12,C6による似非積分回路(≒ローパスフィルタ)の遮断周波数fc≒1/2π(C6)(R12)
=3386Hz
C4//C5,R10あたりの時定数もC2,R3あたりと同程度には効きそうなんですが、
D1,D2の存在のため線形計算が難しいので省略。


<以下は全体に対する影響が僅少のため無視>
C1,Rinによるハイパスフィルタの遮断周波数fc=1/2πCR=8.9Hz
C7,R13+VR2によるハイパスフィルタの遮断周波数fc≒1/2πC7(R13+VR2)=20.4Hz

投稿者 fff : May 6, 2004 01:45 PM
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